幸せのスプーン
昔こんな話を本で読みました。
あるところに持ち主を幸せにするスプーンがありました。優秀かつ真面目なスプーンはご主人様を幸せにしようと一所懸命がんばります。ところが人々は自分の思い通りに事が運ばないと怒ってスプーンを手放してしまいます。さまざまな持ち主を渡り歩いたスプーンは少女と出会います。幸せのスプーンだと聞いて少女は恋する男と結ばれることを願います。ところがその男は関わってはいけない悪い男でした。スプーンは男を少女から遠ざけようとがんばりました。ようやく男を追い払ったとき、少女は嘆き悲しみスプーンを海へ捨ててしまいます。スプーンはため息をつきながら海の底に沈んで行きましたとさ。
幸せってなんでしょう?結婚?仕事?お金?
欲しいもの全てを手に入れたらそれが幸せなんでしょうか?
かつて高学歴高収入の男性と結婚できた女性を「勝ち組」と称した時期がありました。結婚相手で勝ち負けを決めることに強い違和感を感じたことを思い出します。「勝ち組」の皆さまその後幸せにお過ごしでしょうか?
そもそも結婚=幸せという図式が違っていると思います。結婚さえすれば幸せになれるなんて幻想ですよ。一生安泰な生活なんてありえません。
結婚することで手に入れることができるのは「幸せの苗木」です。これから二人で土に植え、肥料や水をやり、少しずつ育てていかなければならないのです。相手に任せたまま世話もせずにほったらかしていたのに「花が咲かない」「実がならない」と文句を言うのはおかしな話ですよね。
幸せになりたいのなら「幸せの苗木」をどちらかに任せるのではなく二人で協力して大事に育ててゆくことではないのでしょうか。
幸せのスプーンは海の底でもう何も語りません。人任せじゃなく幸せは自分で育てるものですよ。選択さえ間違えなければ幸せはちゃんと育っていきます。人は不幸になるために生きている訳ではないのですからね。
それではまた。ありがとうございました。